第二回007 TV吹替声優紹介 〜第一期 ボンドガール編〜
 

 前回の予告どおり、「TV吹替声優紹介~ボンドガール編」をお届けします。ただし、ボンドガールは人数が多いので、DVD-BOXの収録タイトル毎に4回に分けてご紹介させていただきます。というわけで、今回は第一期発売の『ドクター・ノオ』から『女王陛下の007』まで。

 

 と、その前に… 一番最初にボンド・ガールの声を担当したのは、誰でしょう?

 答えは1974年放送の『ゴールドフィンガー』で、オナー・ブラックマンをアテた沢たまき。(ブラウン管に初めて登場したボンド・ムービーは、第1作の『ドクター・ノオ』ではなく、本作でした) 彼女は歌手で女優、後に参議院議員となった方ですが、『ゴールドフィンガー』の放送当時はテレビドラマ「プレイガール」のレギュラーで人気を博していました。ちょっと気だるい雰囲気を漂わせつつ、ときおりドスを利かせた声は、女ボス的なO・ブラックマンのイメージとシンクロしていました。

 後の「水曜ロードショー」でコネリー=若山弦蔵で録り直した『ゴールドフィンガー』では、清水良英が担当し、低音でビブラートの利いた独特の声が、プッシー・ガロアのカリスマ性を引き立てていました。

 

 

 『ドクター・ノオ』では、映画としての最初のボンドガール=ウルスラ・アンドレスを武藤礼子が吹き替え。エリザベス・テイラー、ジュリー・アンドリュースのFIX声優で、どちらかといえば上品系の声を多く演じていた彼女が、野性味溢れるハニー・ライダーを、ちょっと子供っぽく演じているのが実に新鮮でした。

 

  続く『ロシアより愛をこめて』のダニエラ・ビアンキは、若山版・日高版ともに鈴木弘子が担当。40代以上の方にとっては、ジャクリーン・ビセットの声、といえばお分かりいただけるかと思います。ビアンキは007シリーズでも一番人気のボンドガールですが、声を演じた鈴木弘子の功績も大きいと思われます。というのも、ビアンキの地声はちょっと低めで、外人女性にありがちな、あまり特徴のない声。ところが、吹替版では鈴を鳴らすような澄んだ美声に大変身し、姿も声も完璧なボンドガールへと昇華。これだから吹替はあなどれません。

 ローザ・クレブの前で、過去のハニー・トラップの話題に触れたときの、ちょっと魔性の入った鈴木弘子の声の演技のお色気も、男性なら悶絶ものでしょう(笑)。

 

 『サンダーボール作戦』のクロディーヌ・オージェを担当した宗形智子は、70~80年代の洋画吹替の世界では、10本に1本は出演しているくらいの大活躍をしていた方です。ソフトで高めながら、意志の強さを感じさせる声質は、兄の復讐を果たさんとするドミノにはぴったりでした。

 

 『007は二度死ぬ』の浜美枝は、本人が吹き替えているので何も言うことはありません。ここでは若林映子を担当した小宮和枝に言及しましょう。ウーピー・ゴールドバーグやナンシー・アレンのFIX声優で知られる彼女ですが、『二度死ぬ』吹替当時はまだ20代半ば。とっても可愛らしい声で、健康的な色気もポイント高いです。ぜひDVDで聞いてください。あなたの胸にズキューンときますよ(笑)。

 

 『女王陛下の007』のダイアナ・リグは、女優であり吹替でも活躍する田島令子が担当。「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」のリンゼイ・ワグナーの声でおなじみですね。ダイアナ・リグは、TVシリーズ「おしゃれ(秘)探偵」では武藤礼子がアテていたのですが、武藤は007シリーズでウルスラ・アンドレスを担当していたこともあり、別の声でということになったのかもしれません。

 低音ながら色気と愛くるしさが同居する田島令子の声は、ボンドが生涯の妻とする女性にふさわしいといえるでしょう。人気が高いのもうなずけます。

 

 さて次回は、007 TV吹替声優紹介 〜第一期 悪役・脇役編〜です。

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